肉筆画

 

「肉筆」という言葉を調べてみると、「印刷や複製ではなく、本人自身が描くこと」とあります。日本の絵画の世界では、特に浮世絵の世界でよく用いられる言葉ですが、「版画ではなく、直接作者の筆によって描かれた作品」ということになります。

ここでご紹介する作品は、雉◯による肉筆画です。

木製パネルに張り込んだ雲肌麻紙(主に日本画制作用の、厚手の和紙)に墨で線描し、その上で日本画独自の岩絵具、水干絵具、またはアクリル絵の具等で着彩して仕上げています。

全て一点ものとなりますが、それだけに印刷やCGとは比較にならない迫力と力強さを持つ技法です。

 

「今福」様 店舗用肉筆

 

「今福」は、東京白金のしゃぶしゃぶ、すき焼き、肉料理のお店です。2015年よりミシュランガイド東京で一つ星を獲得しています。こちらの店舗の個室用に、雉◯が二点作品を制作させていただきました。

(「今福」様の店舗情報はこちら。)

 

 

肉筆「鋤焼十五人食争之圖」(すきやきじゅうごにんくいあらそいのず)

 

一つの鍋のすき焼きを、15人(14人と1匹)が奪い合う様子を描いた作品です。技法は和紙と墨、水干絵具とアクリルによる紙本着彩で、サイズはF40号です。画風は国芳で、よく見ていただくと随所にちょっとしたネタを仕込んである作品です。クライアント様から「なんでも好きにやってくれて構わない」とご依頼をお受けしたので、本当に好き勝手に楽しく描かせていただきました。

 

 

肉筆「牛狩十九傑大黒毛討取之圖」(うしかりじゅうきゅうけつおおくろげうちとりのず)

 

化物のように巨大な黒毛和牛を、19人(18人と1匹)の豪傑が討ち取ろうとしている様子を描いた作品です。サイズはF50号で、画風は上記と同じく国芳。縄をかけられ絶体絶命の状況に抗う和牛と、弓矢に刀、身の丈ほどもありそうな肉切り包丁などを得物に、留めを刺そうと息巻く豪傑たち。やはりこちらも「鋤焼〜」と同様、「なんでも自由に描いて構わない」とのご依頼でしたので、力士から女侍、騎馬戦の老兵に妖刀使い、柴犬まで、本当に好き勝手に楽しく描かせていただきました。技法も上記と同じく、和紙と墨、水干絵具とアクリルによる紙本着彩です。

 

 

LINHAS PARALELAS

 

ブラジル・サンパウロ市にあるギャラリー「galeria deco」にて行われた日伯合同展示「LINHAS PARALELAS」にて展示された作品です。こちらは以前デジタル技法で作成した作品を元に、肉筆に描き起こしたものです。技法は和紙に墨、岩絵具、水干絵具を用いた紙本着彩となります。